昭和後期こどもの歴史研究会

平成時代の社会変化で、その直前の昭和後期こどもの歴史は忘れられています。お金にならないため、企業も投資したがりません。人間の幸福感の問題として、昭和後期のこどもの文化を、現在のこどもたちに伝えていく努力をしたいです。昭和後期のこどもの文化に幸福を感じる現在のこどもを、一人でも育てられたら嬉しいです。

政治の反映

ズッコケ三人組』作者の那須正幹さんは、『ズッコケ熟年三人組』の後書きで、シリーズを終えるに当たって、次のように書いています。
「作者としては、これ以上年齢を重ねた彼らを書いていく自信がない。・・・更に言えば、この国の行く末である。私が子供版の三人組を書くに当たって常に心に描いていたのは、彼らが平和と民主主義の申し子であるということである。彼らがあれだけ自由に活躍できたのも、ひとえに日本が平和で民主的な国柄であったからである。しかし、戦後70年続いて来た平和で民主的なこの国に暗雲が掛かり始めた。果たしてこの後何年戦後であり続けるのか、心もとない。もしかすると、戦前になるかもしれない時代に、とても三人組の物語を書き続ける気になれないのである。」
私は昨夜、高文研主催の「日本リベラル派の頽落」という対談を聴きに行きました。
対談したのは、東京経済大学教授で在日韓国人徐京植さん、2014年の東京都知事選挙に出馬した弁護士の宇都宮健児さんです。
1990年代半ばまでは、国旗・国歌法は存在せず、学校現場に日の丸・君が代が強制されることもなく、憲法9条の改廃が公然と主張されることもなかった、ヘイトスピーチが溢れることもなかった、仮にそういうことが起きれば、日本リベラル派(社会党・総評グループ、朝日・毎日・東京新聞とその読者層)が押し返すことができた、僅か20年の間に日本社会はかくも遠くまで来てしまった、と。
更に困ったことに、20歳の青年は生まれた時から上記のようなものが存在する社会に生きており、逆に言えばそういうものが存在しない社会を知らない、と。
最近の20代に自民党支持者が多く、9条改正推進を革新、9条改正反対を保守と考えるのは、20数年の自分の経験に照らしてのことなのですよね。
最近の20代に事情を知らせるためには20代に歴史教育をしなければならない、と言っていました。
ズッコケ三人組が自由に活躍できた背景の部分ですよね。
本会では、「昭和後期のこどもの文化は、1990年代半ばに断絶した」と言っていますが、これは大人の世界で起きたことが反映しているのですよね。