座れるようになったら反抗期
朝日新聞5月21日付に、「ストリートダンス躍動」「不良っぽさ離れ、いま学校や舞台でも」という記事が掲載されていました。
漫画家の井上三太さんが、「洋の東西を問わず、人は暴力的な作品に惹かれる」「人の本質には、暴力性と仲間を求める気持の両面がある」とストリートダンスの魅力を語っています。
「暴力」という言葉が2回も出ています。
今世紀に入った頃、乳母車に乗った赤ちゃんが、だぼだぼのズボンを穿いて、喧嘩用の鎖を巻いているのを見掛けたことがあります。
赤ちゃんに喧嘩ができるはずがないのに、あの母親の趣味は何だったのでしょう。
恐らく、校内暴力世代の、不良に対する緩い共感なのではないかという気がします。
今世紀初めに、校内暴力世代は30代半ばですから、赤ちゃんがいるのは自然な時期だと思います。
中学生時代、自分は表立って教員に反抗できないけれども、高校進学の可能性を捨てて教員に反抗していた不良に内心拍手を送っていたと、
自分のこども時代には、大人に従順な、いい子をモデルにした文化しかなかったけれども、この現代は不良をモデルにして自己主張することができるわけだから、大いに不良っぽく肩で風を切れ、と。
私はそれをいいとは思いません。
喧嘩をするとか、大人に従わないとか、体が大きくなれば自然にできるようになります。
むしろ、人間の成長は不可逆ですから、体が大きくなれば夢多きこども時代には二度と戻れなくなっています。
生まれてから思春期を迎えるまでの凡そ12年間は、可愛いとか、素直とか、純真無垢だとか言ったこども期独自の価値を大事にしたいです。
ストリート文化が、中学生・高校生・大学生の若者文化に収まるのであれば何も言いません。
ベトナム戦争期のヒッピー文化と同じものになるわけですから。
しかし、ストリート文化には、小学生より下の年代の夢多きこども時代を侵食する特徴があり、私は許せないな、と思っています。